蛍窓談義

陋屋にて筆に花開かせんと欲する者の雑文の掃きだめと申すべきもの

お屠蘇

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正月飾り (フリー素材ぱくたそ (www.pakutaso.com)から)
新年おめでとうございます。

2019年がやってまいりました。

新年なので我が家では屠蘇を今年から (!) いただくことにしました。
というのも、私は普段健康を害しておりまして、普段お薬を買っている薬局が漢方薬局なんですね。

今まではドラッグストアなどのOTC薬を使っていたので縁がなかったのですが (味醂に付いてるのは一応知ってた)、昨年末に薬局の店頭で見かけたので試しに使ってみることにしたという次第。

屠蘇とは

屠蘇とはなんぞや?と思ったので、まずはJapan Knowledgeで検索してみると…

年始に、祝いとして飲む薬酒。屠蘇散を袋に入れて酒(普通はみりん)に浸したもの。元来邪気を払い長寿をもたらしてくれる酒と考えられ、古く中国においても椒柏酒(しょうはくしゅ)、桃湯(とうとう)、膠牙餳(こうがとう)などとともに、家族そろって飲み交わす風があった。その影響を受け、わが国でもすでに平安時代初期には、宮中においてこれを飲むことが供御(くご)薬として儀礼化していた。(中略)その後、江戸幕府においてもほぼ同様なことが行われ、しだいに一般にも広まって、雑煮(ぞうに)の前に一家で祝って飲んだり、来客にも勧めるようになった。その際、屠蘇はまず年少者から飲み始め順次年長者に及ぶといわれたが、宮中においても薬子(くすこ)と称する未婚の少女が先に飲む習わしであったし、中国でも同様のことが説かれていた。(後略) (日本大百科全書 屠蘇の項より)

とのことです。

唐から伝わった風習ということはわかるのだが… じゃあ江戸時代にはどうなのよ。ということで気になってくるので、再びJapan Knowledgeの古事類苑にすがることにすると…

〔本朝食鑑 穀二〕酒

ということで漢文を読む気がおきない!!!!

というか、よく見ると『本朝食鑑』って書いてあるじゃん!
本朝食鑑って東洋文庫にあるじゃないか…。

なので自宅の本朝食鑑 1をひっくり返してみる。

(前略) わが家の用方では、赤木・桂心各7分半、防風1銭、菝葜 (はつかつ) 5分、山椒・桔梗・大黄各5分、烏頭2分、赤小豆10箇を三角形の絳嚢に盛り(後略)

前略の部分は、日本大百科全書と同じ記述だったのでここで改めて記すことではなかった…
つまり、江戸時代はどうだったのかはよくわからん。

屠蘇の作り方

超簡単な屠蘇の作り方。

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屠蘇散

屠蘇散の袋をお酒に入れる

こんな感じ。今回は羽根屋のスパークリング日本酒にしてみました。

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入れ物に入れた屠蘇散 (だしパックみたいなやつ)
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お酒を入れた直後

普通は発泡していない日本酒ですけど… 今回は御神酒用に買った飯沼本家の甲子しかなかったから仕方ない…

1晩放置

屠蘇散の袋を出す

出来上がりの図。

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屠蘇散を出した後 (屠蘇散の浸漬は5時間)

冷えているので、冷酒のつもりでガラスの酒器でいただくことに。

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屠蘇を頂く
このガラスの酒器は日赤の記念品です(笑)。

味はこれと言って変わってはいないのですが、ミカンの香りが強い… クローブやニッキも入っているというのに。
思っていたのとは少し違う香りでしたけど、清々しい気分になりました。

屠蘇散

一応「屠蘇散」という薬なので、処方も調べてみた。
私のもらった処方は分量が書いていないのだけれど、陳皮、山椒、防風、白朮、桂皮、桔梗、丁子の7種。
対して、本朝食鑑の処方は赤木、桂心、防風、菝葜、山椒、桔梗、大黄、烏頭、赤小豆の9種。

で、ここで気になるのは、それぞれが何なのか。(気になりませんか、すみません)

薬局処方 本朝食鑑処方 和名 学名
陳皮 なし ミカン Citrus unshiu
山椒 山椒 カホクザンショウ Zanthoxylum bungeanum
防風 防風 ボウフウ Saposhnikovia divaricata
白朮 なし オケラ Atractylodes japonica
桂皮 桂心 シナモン Cinnamomum cassia
桔梗 桔梗 キキョウ Platycodon grandiflorus
丁子 なし クローブ Syzygium aromaticum
なし 赤木 スオウ Caesalpinia sappan
なし 菝葜 サルトリイバラ Smilax china
なし 大黄 ダイオウ Rheum sp.
なし 烏頭 トリカブト Aconitium sp.
なし 赤小豆 アズキ Vigna angularis

うーむ… スオウとアズキが処方に入れられている理由がわからん…
特にこれといって薬効が知られているわけではないのだし…

もしかすると、絳嚢が赤い袋のことであることと合わせて、赤が新年を象徴する色、という風に考えればそれもそれで説明にはなるのか…